情熱のカラク【35】浜田さんの秘密

トミ

2015年07月14日 00:12



仕事終わりに浜田さんから『 ついて来い。』と言われ二人で横浜駅方面へ歩き出しました。


山下町のホテルを出発し、、

神奈川県庁を通り越し、遠くに見える横浜スタジアム横も通過、関内、馬車道も越えても、まだまだ歩き続ける浜田さん。(今は地下鉄がありますが、あの頃はまだ地下鉄も有りません)


『まだですか〜?』無言のまま歩くのもなんなんで聞いてみました。


『帰ってもいいぞ。』と浜田さん。


『え?!、ついて行きますけど…。』急に帰っていいと言われても…。無茶苦茶な!と思いながらもついて行きました。


約1時間程歩き、桜木町の伊勢山皇大神宮の近くまで歩きました。


『じゃあ、ここでな。』と浜田さん。


『え、帰りは…。』固まる私。


浜田さんが言うには、
伊勢山にあるレストランをサテライトホテルに依頼され料理を請け負ってるらしく、サテライトのコックさんが働いてて、浜田さんが無報酬で手伝わせて下さいとお願いしてるようです。

もう何度も伊勢山に歩いて来てるらしく、手伝わせてもらう日もあれば、見てるだけの日もあるそうで、、今日は退屈だったのか?私を道連れに来させた様です。


それから私はまたサテライトホテルまで帰り、自転車に乗ってアパートまで帰りました。


帰り途いろいろ考えました。浜田さんに伊勢山まで連れて行かれ、ちょっと頭に来ましたが、まぁあの頃は先輩から言われれば何でも呑みにでも付き合ってましたからね。無茶苦茶な先輩はまだまだ酷い人はいましたから。
それ以上に、料理を習いたくてベーカーでの仕事が終わった後、往復二時間も歩き、無報酬でレストランを手伝う浜田さんの情熱に圧倒されました。



私も1年前は調理学校が終わったらスペイン料理店でバイトして帰宅したら10時過ぎる日もザラでした。今は夕方には仕事が終わり、休日もバイトする必要もありませんが、こんな感じで良いのかなと。。


翌日、
いつも通り出勤して仕事をはじめ、ミルフィーユをお店用に作っている時に浜田さんは出勤して来ました。


『おう!』といつ通りの時間に、いつも通りの挨拶で何も変わらない浜田さん。


浜田さんは昨日私が焼いたチョコレートケーキのカラクをスライスして仕上げはじめました。

『冨高、ココあんまり混ざってないやん。もうちょい立てた方がまだ良くなるで。』カラクの生地を割って食べながら浜田さんが教えてくれました。

『ハイ、使えますか?』と聞くとオッケーを指で出してくれひとまず安心。


そこに永江チーフがやって来て、

『回数をこなすとだんだん良くなるよ。』と言ってくれました。永江チーフは優しいのですが、その優しさがやり難かったり。浜田さんの様にストレートに言ってくれる方がやり易すかったりするんですよね。



20コートミキサー





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