2015年06月08日

スペイン料理店でバイト編【8】〜青天の霹靂

バイト先のコックさん達と仲良くなりはじめてた頃


いつも通り夕方に出勤すると隣のサラダ場の西山さんが居ません。
レストラン街の中にあるスペイン料理店は定休日はない。ローテーションで従業員さん達はお休みを取るシステムでした。


サラダ場の西山さんが休みの日は、
ストーブ前の土岐さんやチーフの白鳥さんがヘルプでサラダ場に入ってくれます。肉や魚を扱うコールドテーブルの北さんがデシャップのチーフを補佐し、もう一人のオーブン鈴木さんがストーブを1人でこなしたり、、担当ポジションが休みの日はお互いサポートし合うコックさん達。。

普段は淡々と寡黙に仕事をしてるコックさん達ですが、急に忙しくなったり、何かアクシデントが発生すると、絶妙の連携、コンビネーションを魅せてくれるんです!

西山さんがお休みの日は、私も洗い場を1人で回し、その頃にはサラダのドレッシングやマリネを仕込んだり、仕込みの野菜を切らして貰ったり、サラダのオーダーを作らせてもらえたり、仕事の幅もちょっとづつ広がっていました。


翌日も西山さんは来ない。

『西山さん 今日も休みっすか?』白鳥チーフに恐る恐る聞いてみると、、

『あいつ 来ねえンだよ… 』

『マサル、明日ちょっと見て来いよ…。』

他のコックさん達は動揺する事もなく、淡々といつも通りの仕事をこなしています。


翌日は調理学校には行かず、朝から上大岡の西山さん宅を訪ねました。この頃には『俺はスペイン料理のコックになるんだ!』と勝手に思い込み、調理学校の友達の森田君や吉田君にも豪語してましたね笑

どうせスペイン料理のコックになるんだから学校に行くより、現場のスペイン料理店で働いた方が腕が上がるだろうとバイトばかり入れて貰ってましたね。


そんな憧れのチーフが、多分冗談半分で言ったのが、頼りにされてて、コックさん達の仲間入りをしたようで嬉しかったンでしょうね。


学校を休んで西山さん宅に行ったのは叱られました(笑)そういう所もしっかりしたお店でした。



『西山さん、 トミタカで〜す! おはようございます…』


在宅の気配は有るんですが、答えてくれません。。



『どうしたんですか〜、具合でも悪いんですか?』


『 ……… 。』


『出てくるまで帰りませんよ〜!』


先輩に対して失礼かとも思いましたが、何を言っても返事は無し。その日は諦めバイトに向いました。


翌日は調理学校に行ってから西山さん宅を訪ねました。2日連続来た、しつこさに面倒くさくなったのか、、インターホン越しですが話してくれました。

『自分は調理学校も出てない…最近上達しないし、トミタカみたいな若い子に抜かれるかも知れない……続ける自信が無い……。』


ショックでしたね。

西山さんの一番弟子と自他共に話していて。料理人にしてはちょっと優し過ぎ、ネガティヴな人だなとは感じてましたが、憧れの先輩でした。


友達もあまりいない都会生活でやっと出来た先輩。


親しくなれた先輩と一緒に仕事が出来なくなるのがショックで、沈んだ気持ちで白鳥チーフに報告しました。



『マサル、明日からサラダ場と洗い場担当な。』


『 エ?!』



『新しいコックが入ってもお前が教えろよ。明日から来るから。』



えーーーー?!


昇格 ?!


西山さんの事で落ち込んでる暇は有りません!


人の出入りが激しいのは飲食業界の常。
やる気があるのは誰でも大歓迎だけど、気持ちが切れた料理人を引き留めたりしないんだ。と白鳥チーフ。

来るものは拒まず、去る者を追わないのもあの店の流儀でした。


白鳥チーフはこうなる展開を早くから読んでいて、もう次の手を打っていたのかも知れません。。

スペイン料理店でバイト編【8】〜青天の霹靂


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